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第2報 新型コロナ感染症変異型流行に当たっての森林セラピー実施上の留意点
   ―新型コロナ変異型感染症下における行動指針に準拠する方針についてー
第1報 新型コロナウィルス感染症が終息していない状況下での
   森林セラピー活動の慎重な実施について

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第2報 新型コロナ感染症変異型流行に当たっての森林セラピー実施上の留意点
-新型コロナ変異型感染症下における行動指針に準拠する方針について-

 これまで、新型コロナ感染症の猛威が収まるまでは、業務の自粛をお願いしてきたところですが、1年経ってもその勢いは収まるどころか、脅威を増した変異株が全国各地で出現し、感染拡大が現実のものとなって来ております。変異によるウィルス亜型の出現可能性とその脅威については、機関誌第26号(本年1月20日発行)の巻頭言にも書き記した通りですが、残念ながらその予想に沿った進行となってきております。
 変異型は、従来型よりも感染力が高いこと、症状が出てから重症化するまでの期間がかなり短くなっていること、40 代~50 代の重症患者が急増していることが、報道されております。感染性の高い変異型においても感染伝播の特徴は飛沫感染と接触感染であり、お互いがマスクを正しく着用すること及び手洗いの励行が感染対策の基本となります。呼気に含まれる極小粒子によるエアロゾルが長期間大気中を漂い残る可能性や長時間経った後の周辺空気を吸い込むことによる感染の可能性については、専門家は否定的ですが、くしゃみ等による生成直後のエアロゾルの直接的な飛来を避ける必要があることはもはや常識となっております。変異型に対しても予防対策は変わりませんが、一層厳しく予防に努めた方がお互いのためです。
 では、森林セラピーの世界では特にどのような注意が必要でしょうか。例えば、森で歩きながらくしゃみをした時の粒子は一部が首から後方へ流れていく形で飛ぶという研究結果も出されています。生成直後のエアロゾルによる感染を防止するため、森での歩き方においてもクライアントには2メートル程度の間隔を取って頂くべきこと、歩きながらでも大声で話しあうことはご遠慮いただくべきこと、安息時や深呼吸プログラムの実践においても間隔を開け、密を避けることが必要です。そして接触感染の防止としては、多くの人が触れる鎖やロープ等を握った後には、顔や口に手をもっていくべきでないことは言うまでもありません。また、森林セラピストや森林セラピーガイドにあっては、説明が唾の飛沫を伴い感染機会を増大させる恐れがあることに十分留意して頂き、事前に資料を配ることで説明回数を減らし、また、決して大声を出さないこと、マスク着用の上にフェースマスクで2重の防備をして発声に臨むこと、呼吸法の実践には、クライアント相互の間隔も十分に取ることに努めるようにして頂きたいと思います。さらに1回のプログラムの編成人数については、セラピスト、ガイドを含め、最大7名までに抑えて頂きたいと思います。また、ガイドの途中で他のグループと重なり合うこととか、クライアントが数珠つながりになる可能性のあるコースは選択しないようにお願いします。
 本来であれば、医学の専門家にお願いしてこうした留意点をまとめたガイドラインを用意すべきところですが、本ソサエティの規模ではそれも困難でした。そこで、私どもの活動に最も近いと考えられる山岳ガイドの皆様がその活動のための行動指針を使っておられますので、それを是非皆様にご紹介し、今後の活動の参考にしていただきたいと思う次第です。
「新型コロナウイルス感染症拡大防止のための行動指針(第1版追補版) With コロナのガイド指針 2020 〜感染に起因する諸問題への配慮〜」(公益社団法人 日本山岳ガイド協会 発行) http://www.jfmga.com/pdf/corona_guideline_Vol.7.pdf
 全文大変素晴らしい内容のものですが、文中特に、章4.2 Step2(8-11ページ)は、現在の状況に大変参考となるものと考えます。なお、作成に当たられた日本山岳ガイド協会の皆様には、この文面を通じて深く敬意を表し、併せて流用をさせて頂きますことを感謝したいと思います。

令和3年5月10日
NPO法人森林セラピーソサエティ理事長 瀬上 清貴



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第1報 新型コロナウィルス感染症が終息していない状況下での
森林セラピー活動の慎重な実施について(ご案内)

新型コロナウィルス感染症が終息していない状況下で、森林セラピー活動をご利用者・参加者に安全なものとして実施することについてのガイドラインはないのかとのお問い合わせを森林セラピーソサエティ事務局にいただいております。
 当法人としては、適切なガイドラインをご提供できる能力を有しておりませんが、代わりにご参考になるもとをご紹介したいと思います。

屋外で安全に運動・スポーツ(ウォーキング・ジョギング)を行うためのポイントについては、現在のところ、公益財団法人日本スポーツ協会及び公益財団法人日本障がい者スポーツ協会が連名で作成した「スポーツイベントの再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」 )(令和2年5月14日)があります。 guideline.pdf
また、同協会からは、スポーツイベントの主催者・参加者向けにガイドラインに即したチェックリストが作成され、公表されています。
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/jspo/guideline_checklist.pdf
これらがスポーツイベント再開に当たっての基本的な考え方やスポーツイベント再開時の感染防止策の留意点(主催者及び参加者)について記載されたものとして、最も参考になるものと考えています。森林セラピー活動の再開にあたっては、この中の「比較的小人数が参加するスポーツイベント」に関する記述がご参考となるものと思われます。ただ、このガイドラインは一般論をもれなく記載してあるものであり、それを森林セラピー活動の特性に合わせて慎重に読み解かれることが重要であるかと思われます。

なお、このガイドライン等は、先に文部科学省スポーツ庁健康スポーツ課から出された事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大防止と運動・スポーツの実施について」(令和2年4月27日)に基づいて作成されたものと思われます。スポーツ庁から出されたこの事務連絡の発表後、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の専門家会議提言や政府対策本部の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が矢継ぎ早に改定されました。それを受け、スポーツ庁健康スポーツ課では、上記事務連絡の添付資料4「安全に運動・スポーツをするポイントは?」を素早く改正し、「安全に運動・スポーツをするポイントは?の改正について」(令和2年5月22日)と言う事務連絡を出しています。
https://www.mext.go.jp/sports/content/20200522-spt_sseisaku01-000006777_2.pdf
併せて、ご参照ください。

また、「新型コロナウイルス感染症」は、高齢者や基礎疾患がある方は重症化しやすいことが明らかになっています。森林セラピーの実施者には高齢者が少なくないことから、高齢者向けの注意点についても配慮が必要です。この点について、一般社団法人日本老年医学会から、先の見えない自粛生活が高齢者にとっては「動かないこと(生活不活発)」によるフレイル(虚弱)が進み、心身や脳の機能が低下することをおそれ、その予防について一般向けにポイントをまとめたパンフレットを出しています。この知識の普及により、フレイルを予防し、抵抗力を下げないように提唱しています。
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/citizen/pdf/coronavirus_01.pdf
その内容は、高齢者にはゆっくりとした森林セラピーが感染症予防に配慮して行われるのであれば、全身状態の良好な維持に適切なものであるとのおすすめをいただいているようにも読み取れます。

こうした既存のガイドラインを十分読み込んで、ご利用者にもその情報を適切に説明することを必ず行っていただいた上で、森林セラピー活動の慎重な再開に取り組んでいただければと思います。

上記の様々な対策を組み込んだ上で、森林セラピープログラムを開始し、実際に森林散策や森林ヨガの実施段階で、息苦しさを訴えるご利用者が出た場合にはどうしたら良いのでしょうか?その利用者が連続して咳をしているようであれば、中止させます。また咳は無くても、心臓病や慢性呼吸疾患の既往が有れば、中止を助言して基地に戻しましょう。そうした既往が無く、単にマスクによる息苦しさだけを訴えているのであれば、爾後、下記の条件を受け入れて頂けるなら、マスクを外して続けていただくこととして構いません。
その条件は

  1. 1)グループの最後尾につくこと
  2. 2)エールを含め、発生を控えて頂き、特にツバが飛ぶような大声は決して出さないこと。
  3. 3)前の利用者から2メートル距離を置いて、歩くこと。
  4. 4)森林ヨガや深呼吸法の実施への参加も構わないこと。ただし、集まっている他の参加者から4メートルほど離れて位置取らせること。
  5. 5)離れることでガイドやセラピストの声が聞こえなくなる場合にあっては、指導者の振舞いや他の参加者の様子を見て、時間遅れで真似ることで動きを続けること。この時、指導者は聞こえないからと要求があっても、大声をあげてはならない。
  6. 6)ガイドやセラピストは森林散策の途中で樹木や花の説明をするために立ち止まって、参加者を集め、説明をする事は控える事。
このような条件を特定の利用者が受け入れるのであれば、参加継続を認めても構わないのではないかと思われます。
中には、スタート前から、マスクを外したいと希望する利用者もおられることと思います。その場合も、上記のステップに準拠してお考えの上、参加の適否をご判断下さい。
繰り返しとなりますが、大声を出す事は、感染を広げてしまう危険性があるとして、ガイドラインでは、抑制しています。これは、ガイドやセラピストなど指導者にとって、プログラム実施中の指導のあり方につながる重要なポイントです。様々な配慮が必要となるでしょう。
例えば、経路途上の景観ポイントや特別な樹木や花のあるポイントについては、あらかじめコース経路図等に書き込んでおき、その解説も囲み記事などにしておき、事前のコース説明の際にご説明しておくようにすることが求められます。
こんな配慮をしてみたという経験談をお寄せ下さい。

なお、森林セラピーによるコロナウィルス(COVID-19ウィルス)に対する予防的効果に関する科学的情報を整理いたしました。会報誌25号(令和2年6月発行)の記事「COVID-19ウィルスに対するナチュラルキラー(NK)細胞活性と森林セラピー」をご参考にしていただければと思います。

令和2年6月9日
NPO法人森林セラピーソサエティ理事長 瀬上 清貴



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