森林セラピーが生み出す健康効果
- 森林浴でストレスホルモンが減少する
- 森林浴で副交感神経活動が高まる
- 森林浴で交感神経活動が抑制される
- 森林浴で収縮期・拡張期血圧、脈拍数が低下する
- 森林浴で心理的に緊張が緩和し活気が増す
- 森林浴によりNK活性が高まり免疫能が上がる
- 森林浴により抗がんタンパク質が増加する
- 「緊張」「抑うつ」「怒り」「疲労」「混乱」などのストレス状態の改善
- 「活気」「活力」の意欲、エネルギーの回復
- 「身体の痛み」等の自覚症状の改善
- 「全体的健康」「心の健康」等の気分の改善
- 最高血圧・最低血圧の低下、脈拍の減少等の自律神経系の改善
- 運動による体質改善とリハビリテーション効果
(国研)森林総合研究所、千葉大学環境健康フィールド科学センター、日本医科大学、日本衛生学会・森林医学研究会による、
生理・心理・物理実験等により、森林のもつ「癒し」効果の科学的解明に関する研究より
実験で得られた結果
生理・心理・物理実験を、都市部と森林部で行った結果、唾液の中のコルチゾールという「ストレスホルモン」が都市部に比べ、森林では濃度が低くなるということがわかりました。
また、心拍の「ゆらぎ」の測定で、森林ではストレスの高い時に高まる「交感神経活動」が抑制され、リラックスした時に高まる「副交感神経活動」が昂進するということ、さらに脳の前頭前野の活動が鎮静化しリラックスすることがわかりました。
免疫能についても2泊3日の森林浴でNK活性(ナチュラルキラー活性)が高まることがわかりました。
森林内の環境
- 森林セラピーロードにおける温熱環境(PMV)
- 温度、湿度、輻射熱、風速、被服量、活動量から測定。
- 都市と森林の温熱環境(PMV)を比べると、森林の方が都市より快適性が高い。
- 森林の方が温度・湿度・風・輻射熱などにおいて都市より快適であることを示す。
森林の香り成分(フィトンチッド)
- 森林セラピーロードにおけるフィトンチッド量
- 植物の放出する化学物質(α-ピネンやリモネンなどのフィトンチッド)を測定。
- 樹木の発散する化学成分であるフィトンチッドは、森林セラピーロードにおいてイソプレンが最も多く、α-ピネン、カンフェン、β-ピネンなどが検出された。
森林浴で心理的にリラックス
- 森林部と都市部におけるPOMSによる心理的変化
- アンケート用紙を用いて人の気分(緊張や不安、活気など)を測定するPOMSを使用。
- 森林浴歩行後、森林は都市と比較して「緊張」「疲労」の気分が緩和され、「活気」が高まることがわかった。
森林浴でストレスホルモンが減少
- 森林部と都市部における唾液中コルチゾール濃度の推移
- コルチゾールは代表的なストレスホルモンで、ストレス時に濃度が上昇。唾液から濃度を測定した。
- 図はストレスホルモンであるコルチゾール濃度を示す。森林浴歩行において、森林は都市に比べストレスホルモンが減少した。
森林浴で血圧や脈拍数が減少
- 森林部と都市部における血圧および脈拍数の変化
- 収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数はストレスがかかると上昇する。
- 図は収縮期血圧および脈拍数を示す。森林浴において、収縮期血圧および脈拍数が都市に比べて低下していることがわかる。森林の方が都市よりリラックスしている状態にある。
森林浴で交感神経活動が低下
- 森林部と都市部における心拍変動性(交感神経)の推移
- 心拍の揺らぎを解析することにより、自律神経活動を副交感神経活動(リラックス時に昂進)と交感神経活動(ストレス時に昂進)に分けて数値化。
- 図はストレスの指標である、交感神経の活性化を示す。森林浴において、森林は都市に比べ交感神経活動が低下し、ストレスが緩和されていることがわかる。
森林浴により抗がんタンパク質が増加する
- 森林浴による抗がんタンパク質の変化
- 図は森林浴前と2日間の森林浴の主要な抗がんタンパク質の変化を示す。森林浴によって、グラニュライシン・パーフォリン・グランザイムの主要な3種類の抗がタンパク質が増加したことがわかる。
- 森林浴によって抗がんタンパク質が増加し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかる。
森林浴によりNK活性が増強する
- 森林浴による免疫能(NK活性)の変化
- 図は森林浴前と2日間の森林浴のNK活性の変化を示す。森林浴によって、ヒトのNK活性が1日で27%、2日で53%増強されたことがわかる。
- 森林浴によってNK活性が増強し、がんに対する抵抗性が高まったことがわかる。
出典 Li Q et al. Int J Immunopathol Pharmacol. 2008;21(1):
さらに詳しい研究結果は、日本衛生学会 森林医学研究会に掲載されております。